中年の女 2 3
朝
東京は、雨
ホテルの窓を開けると雨のにおいがした。
中年の女「中田さん?」
隣のベッドに彼女の姿は無く、
代わりに置手紙らしき紙切れがあった。
石油高
そこには石油高と書いてあった。
二人分の宿泊費を払い、
私は当初の目的である眼鏡を探す旅に出た。
・・・
ホテル出て駅のほうに歩くと眼鏡屋が見えた。
中年の女「こんにちは。」
店員の女「いらっしゃいませ。」
中年の女「ヨンさまの眼鏡を探しているんですけど。」
店員の女「もうしわけございません。ヨンさまの眼鏡は当店には置いていないんです。」
私は何のちゅうちょも無く対応した店員を不思議に思った。
中年の女「ヨンさまの眼鏡を探している方ってよくいるんですか?」
店員の女「いえ、つい先ほどもいらっしゃって。」
中年の女「つい先ほど?」
店員の女「ええ・・・不思議な方でした。」
中年の女「不思議・・・・」
店員の女「ええ・・・あ、探してらした眼鏡の事ではなくて、」
中年の女「もしかしてギターを持ってませんでした?」
店員の女「え、はい!その通りです、あ、もしかしてあなたが?」
中年の女「え?」
店員の女「手紙を預かっているんです。ヨンさまの眼鏡を探している方がきたら
この手紙を渡してくれと。・・・これです。」
中年の女「ここで読んでもよろしいかしら。」
店員の女「ええ、もちろん。」
中年の女「ええと・・・」
・・・
・・・
・・・
中年の女「おじゃまいたしました。」
店員の女「いいえ。またのご来店、おまちしております。」
外に出ると雨は止んでいて少し晴れ間も見えていた
何日も東京に残れるほどお金は持っていない
時間は無い
卑猥な手紙を捨て、晴れ間の方に向かい歩き始めた。