中年の女1 2
東京には子供の頃からあこがれがあった。
今でもここにはすべてがあると思っている。
ここが東京。
乗り物
ビルの看板
人
それぞれがたくさんの色に彩られている。
こんな形で来る事になるとは思いもしなかった。
中年の女「とうとう来たわ・・・」
中田さん「そうね。」
中年の女「中田さん!?・・・あれ?」
確かに後ろで中田さんの声がした。
しかし振り向いても彼女の姿は無かった。
中田さん「どうしたの?」
中田さんは右にいた。
中年の女「どうしてここに?」
中田さん「ご主人に奥さんが迷子にならないようにと頼まれちゃって。」
中年の女「もう、おせっかいなんだから。」
中田さん「ふふ、うらやましいわ。」
中田さんは夫が入院中に仲良くなったナースである。
中年の女「でも、どうして?」
中田さん「ご主人には大きな借りがあるんです。」
中年の女「え?それはどんな?」
中田さん「んー。歌にして伝えていいですか?」
中年の女「え?ええ・・・」
おかしな点が注意できるほど、まだ仲良くは無かった。
中年の女「それではカラオケボックスを探して・・・
中田さん「いえ、ギター持ってますから。」
彼女は確かにギターを持っていた。
しかしあまり考えないようにしていた。
中田さん「それでは聞いてください、『飾りじゃないのよ涙は』」
Em -------- Em ------
私は泣いたことがない 灯の消えた街角に
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速い車にのっけられても 急にスピンかけられても恐くなかった
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赤いスカーフがゆれるのを 不思議な気持ちでみてたけど
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私泣いたりするのは違うと感じてた
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私は泣いたことがない 冷たい夜のまん中で
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いろんな人とすれ違ったり 投げキス受け止めたり投げ返したり
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そして友達が変わるたび 思い出ばかりが増えたけど
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私泣いたりするのは違うと感じてた
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飾りじゃないのよ涙はハッハン 好きだといってるじゃないのホッホ
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真珠じゃないのよ涙はハッハン 綺麗なだけならいいけど
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ちょっと悲しすぎるのよ涙はホッホッホー
中年の女「・・・」
中田さん「・・・」
中田さん「ごめんなさい・・・これしか弾けないんです。」
中年の女「そんなことないですよ。一つでも弾けたらすごいですよ。」
おかしな点が注意できるほど、まだ仲良くは無かった。
二人での東京
月がぼやけて見える。
・・・
・・・
・・・帰りたい。
つづく